奇跡みたいな

プクオ──10歳のオス、ロップイヤー。

2年前の10月、左の顎下に膿瘍を発症。
それ以来ずっと、膿が溜まっては顎が膨らみ、切開して排膿する処置の繰り返し。
顎のバランスが崩れ、少しずつ顔が変形していく様子を、飼主さんと一緒に、暗い気持ちで見守り続けてきました。
2年間も……。

それでも何とか10歳の誕生日を迎え、治療は続いていました。
ところが、5月の連休明けを最後に、来院が途絶えます。
「歳も歳だしな……ひょっとして、たぶん……」と、嫌な予感が頭をよぎる。

そんなある日、1ヶ月ぶりに元気そうな飼主さんとプクオが診察室に入ってきました。
思わず声が出ます。

「ええーっ!! あれだけ酷かった顎、キレイになってるじゃないの!」

「そうなんですよ。特に何をしたわけでもないのに、良くなってきて……先生に見せるのが遅くなっちゃって」

「いやいや、そんなことどうでもいい。それにしても……こんなこと、あるんだねぇ」

──本当に、奇跡みたいだけど。
たま〜に、起きるんです

でも、飼主さんはちゃんとわかっています。
左顎の変形は今も残っていて、触ればはっきりわかることを。
病気は寛解したけれど、完治はしないということを。
それを理解したうえで、再びプクオを連れて来てくれた飼主さんだから、
私はこの状態が少しでも長く続くよう、これからも努力したいと思います。

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