邪悪なる大蛇

アメリカのS・キングと並んで私的お気に入り、フランスのピエール・ルメートルの新作。
序文で作者が打ち明けた通り、本書は1985年に書かれたまま未発表の処女作を、殆ど手を加えることなく、自身最後のミステリー作品として上梓したもの。
ルメートル作品の特徴、意地悪な運命、ブラック、理不尽、酷薄がしっかり詰まった、登場人物に対して容赦が無さ過ぎる物語だ。
故に読者の好き嫌い両極端に分かれる傾向が強いが、当然私は大好き。
認知症を患いつつある腕利きの女殺し屋の物語だが、えっ! そんな馬鹿なっ、と驚かされる場面の連続。
最後、物語に終止符を打った意外な人物に、おおっ、そう来たかーと感嘆しきり。
そして作者、いや、邦訳家の力量によるものかもしれないが、本書からは思わず日常生活で使ってみたくなる言い回しがいくつも目に入る。
「彼は言い訳を探す卑怯者だか、言い訳をでっちあげることができない正直者でもある」なんて、思わず声に出して復唱して、ブログにさも自分の言葉のように書いたが、直ぐに恥じて消しましたわ。
認知症の恐怖を感じだし、老眼鏡頼りに四苦八苦読書する世代にオススメ。
全300Pちょっと。
苦労するけど面白いよ。
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