沢村忠に真空を飛ばせた男: 昭和のプロモーター・野口修 評伝

書店で最初目にしたとき、そのボリューム(550p)と価格(2900円税別)に圧倒され、好きなジャンルといえ今更自分の知らない人物の物語読んでもなぁ〜と興味は湧かなかった。
しかし登録しているYouTubeチャンネルで、日明兄さんがここまでベタ褒めするなら読まねば。

そして読めば日明兄さんのいう通り「そういう事があったんか!」の連続。

昭和の立技系格闘技興業師である野口修、2010年から彼が亡くなるまで6年間、著者・細田氏は本人に執拗に話を伺っているのに関わらず、本書を自伝ではなく評伝とした理由は、野口氏が隠そうとした過去までも徹底してその真相を知ろうと、相当数の関係者にも時間をかけて当たったからだ。
よって野口氏の死後も、上梓まで更に4年もかかった本書は、細田氏執念の一冊と言える。
たった1人、細田氏の接触を許さなかった沢村忠は今年の3月26日に亡くなったので、彼の野口氏に対する証言が永遠に得られないことが悔やまれるが、逆にそれが如何にも沢村らしいとも思った。

最終章、野口修の晩年は非常に寂しい状況に読めたが、よくよく考えれば人間老いたら皆こんな感じなのかも、特に男はと思う。
そういう意味で、歳とって読むと身につまされる読み物だ。

彼がいなかったら、武尊や天心は出現しなかったかも。

1つ星 (まだ評価がありません)
Loading...

Comments are closed.

サブコンテンツ

このページの先頭へ