人生は冥土までの暇つぶし

著者は1980年代に集英社の「週刊プレイボーイ」を発行部数100万部の雑誌に育て上げ、その黄金時代を築いた伝説の名編集長。

著者の直近の日常生活を綴ったエッセイだが、幼い頃から読書家だった彼の文章には、今年84歳になる人物ならではの深みがあり、まさに名言の宝庫だ。
「人生は、運と縁と依怙贔屓」「親の七光りより、アカの他人の七光り」といった言葉は、人生における交遊関係の重要性を的確に表している。
また、「男は女を誤解して愛し合い、理解して別れるものだ」「女を所有した瞬間にエゴが生じてロクなことが起こらない。結局、男を選ぶのは女の特権なんだ。男はその流れに身を任せて生きるのも悪くない」といった言葉は、50代の私でも到底言えない重みを持つ。

さらに、「道楽はアマチュアの部類で、極道とは道を極めるという意味」「金を残して死ぬやつは下だ。仕事を残して死ぬやつは中だ。人を残して死ぬやつは上だ」「物には限度、風呂には温度、そして俺には節度」といった言葉が次々と登場する。
これらの至言に心を打たれ、ついアンダーラインを引きながら読み進めてしまった。

そして、「みんなが同じクリスマスディナーコースを食べることなどは気持ち悪くないか。グルメ本に紹介され、行列ができる風景もおぞましい。自分の嗜好を貫く気概と志、それを評価し、応えてくれる店を持ってこそ、極道のスタートラインである」という言葉には、独自の美学を追求することの大切さを痛感させられると同時に、己の考えと一致して嬉しいものがあった。

本書はエッセイでありながら、下手な自己啓発本以上に人生に影響を与える力を持っている。
さすがは、伊集院静亡き後、私にとって日本で最後のメンターと勝手に尊敬する著者だ。

実は昔、著者が発起人となった葉巻愛好倶楽部に在籍していた際、会報誌の対談に誘われたことがある。
おそらく自分の職業に興味を持たれたのだろう。
しかし、普段はデイリーシガーばかり嗜んでいた自分には、「道楽」から脱しきれていないという意識があり、「極道」との対談は畏れ多く感じて辞退してしまった。
今になって思えば、自ら「運」と「縁」、ひょっとすると「依怙贔屓」に恵まれる機会を逃したのではないかと少し後悔している。

最後に、著者が贈ってくれた言葉、「メメント・モリ」「カルペ・ディエム」
「人間はいずれ必ず死ぬことを覚えておけ」「はい、だから今日という日を思い切り愉しみます」。
この2つの言葉を胸に刻み、人生の後半を歩んでいきたいと思った。

新年最初に良い書を読ませていたたぎました。
「極道」に憧れる方は是非!

1つ星 (3 投票, 平均: 1.00 / 1)
読み込み中...

コメントは受け付けていません。

このページの先頭へ