SNSに対して

午前中、初診の飼主さんから質問されました。

「待合室に貼ってあるこの張り紙を見たのですが、一匹でも多くのウサギを救うためには、ネットで情報を拡散した方がいいのではないですか?」

一見すると、心温まる美談のように聞こえます。
しかし、現実はそう単純ではありません。

人間は言葉で関係を育む生きものです。
しかし、互いに共通言語を使う関係性であっても、考えや思いを共有することが困難な場合があります。
どちらか一方、もしくは双方の語彙力やリテラシーが不足していれば、伝えたい内容が正しく伝わらないことがあります。

残念ながら、対面で直接、飼主さんと一対一で話しても、相手の受ける印象や理解度はさまざまです。
そして、どれだけ友好的な関係であっても、誤解や勘違い、ミスが原因で、その関係が簡単に壊れてしまうこともあります。
それに、記憶とは曖昧でいい加減なものです。
過去に散々行った説明であっても、飼主さんの都合に合わせて、言い訳や納得の材料として、意図的に改ざんされることがあります。
さらに厄介なことに、誰もが利用できるSNSの存在により、重要な対話を避けたまま、彼らの一方的で無責任な意見が拡散されるケースが後を絶ちません。

この仕事をしていると、それが現実の一部であることを痛感します。
信頼関係のない相手に私の感情を少しでも割くのは、無意味であり、時間の無駄だと思っています。
だからこそ、そのような人のことは早々に私の記憶から消去します。

私が最も大切に思うのは、当院に足を運んでくださる患者さんとその飼主さんたちです。
私が関心を持ち、情熱を注ぎたいのは、良好な関係を築いている彼らだけです。
そのためなら、「どうぞ動画を撮ってください。技術も知識も吸収してください」という気持ちになれます。

しかし、それが他の無関係な人々の目に触れ、不適切な意見によって邪魔されるようなら、私はこの仕事を気持ちよく続けることができなくなるでしょう。
そんなときは、潔く辞める覚悟です。

幸運なことに、今回の初診の飼主さんは、話が通じる方でした。
これから長いお付き合いができればと思います。

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