SFTS(重症熱性血小板減少症候群)

先日、三重県内の動物病院に勤務していた高齢の男性獣医師が、SFTSウイルスに感染していたネコを診療後に発症し、死亡したと報じられました。
この訃報を受けて、日本獣医師会および三重県獣医師会は、全国の獣医療従事者に対して、ゴーグル・手袋・ガウンなどの防護具の着用徹底や、SFTSが疑われる動物を扱う際の注意喚起を行いました。

SFTS(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome)は、SFTSウイルス(SFTSV)によって引き起こされる感染症で、主にマダニによって媒介されます。
感染経路としては、マダニに咬まれることでウイルスが体内に入り込むほか、感染動物の体液や血液との接触によっても感染することがあるとされています。

このウイルスは、タヌキ・イノシシなどの野生動物やペットのイヌ・ネコにも感染が確認されており、人間と同様に発症・死亡する例も報告されています。
とくにネコでは重症化しやすく、獣医師や飼主への感染事例も存在します。

致死率は6〜30%とされており、高齢者や免疫力の低下した方ほど重症化しやすい傾向があります。
特効薬やワクチンは現在のところ存在しておらず、対症療法(解熱、輸液、臓器サポートなど)を行いながら自然回復を待つしかありません。

SFTSが初めて報告されたのは2009年ごろの中国で、原因不明の発熱や血小板減少を伴う重症患者が相次いだことで注目されました。
2011年にはウイルスの正体が特定され、「SFTSウイルス(SFTSV)」と命名されました。
日本では2013年に初の国内感染例が確認されて以降、全国で散発的に発症が見られるようになっています。

この感染症は、狩猟者・野生動物の解体作業者、登山者・キャンパー・林業従事者、畜産業者・農業従事者、そして獣医師・動物看護師・保護活動者など、動物や自然環境と接触する機会の多い職種や活動を通じて感染するリスクが高いといわれています。

ウサギとSFTS
ウサギにもマダニは寄生します。
しかし、2024年時点では、ウサギがSFTSウイルスの自然宿主であるという証拠は報告されておらず、「ウサギが感染して発症した」「ウサギからヒトに感染した」といった症例も確認されていません。

ただし、マダニがウサギに与える影響(吸血、皮膚炎、ストレス、貧血など)は実際に見られますので、特に屋外で活動するウサギの場合には、マダニ対策を意識した環境管理が重要です。

さて、ウサギの飼主の皆さんに馴染みの深い「ツメダニ」と「マダニ」は異なる種類のダニですので、混同や混乱にご注意ください。
SFTSを媒介するのはマダニであり、ツメダニがSFTSを媒介することはありません。
両者はまったく別のものです。

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