飼主の涙
初診でよくある話。
私が診察を終え、診断の説明をしていると、飼主さんが涙を浮かべることがあります。
たとえ重病でなくても、飼い方の見直しが必要だとお伝えするだけで涙する方もいます。
主に女性の飼主さんがそうです。
私は厳しい獣医師だと言われることがよくあります。
確かに、お互いに理解し合えない場合、冷たい態度をとることもあります。
でも、無視して泣かれることはないので、涙には別の理由があるのだと思います。
誰しもそうかもしれませんが、表面的な付き合いの方が長続きすることがあります。
けれども、熱意を持って本音で向き合うと、時には傷つけ合うことも避けられません。
結果的に関係が壊れることもあるでしょう。
何よりもまず、ウサギの健康を守ろうとすることが私の仕事です。
飼主さんの気持ちに寄り添うことが第一ではありませんが、だからといって軽んじているわけではありません。
私はウサギのために、必要なことを伝え続けます。
涙を見ても、飼主さんにとって必要な説明をやめることはありません。
「今は泣いている場合じゃない。泣くほどのことではない」と励ますこともあります。
私の中には、ウサギの健康が第一だという揺るぎない信念があるからです。
今まで一生懸命に愛兎の世話をしてきた飼主さんにとって、自分のやり方を否定されたり、改善点を指摘されることは、心が折れそうになるかもしれません。
でも、そこで涙を流しても耳を傾け続ければ、解決策が見つかるはずです。
次にお会いするとき、「どうだ、うまくいったよ! うちの〇〇ちゃん、絶好調よ!」とウサギと一緒に笑顔で報告してくれたら、私はもう「厳しい獣医師」ではなくなっている筈です。
(14 投票, 平均: 1.00 / 1)