飼主さんに考えてほしいこと

ある症状を発症し、当院に初診で来院された患者さんがいました。
聞けば、他院で別の症状の治療を受けており、投薬中とのことでした。
しかし、残念ながら今日はその病院で診察を受けることができず、当院を訪れたそうです。

私としては、処方されている薬の内容を知りたかったのですが、飼主さんはその薬について把握していませんでした。
そのため、薬に関する情報が不明という前提のまま、私の診察を進め、患者さんの治療にあたることにしました。

その患者さんの症状は、軽いか重いかで言えば「重い」方に分類されるもので、場合によっては長期化、さらに場合によっては慢性化する可能性がありました。
診療を一通り終えた後、今後の治療方針について飼主さんと話し合いました。
その際、飼主さんは当院で治療を続けたいと申し出てくださいました。

しかし、私はその申し出に対してすぐには承諾しませんでした。
「できれば、これまで診ていただいていた先生に一度診てもらい、相談された方が良い」とお伝えしました。
その理由は、先方の獣医師の立場を考えると、非常に残念に感じるだろうと思ったからです。

考えてみてください。
長年、大切な顧客として治療を続けてきた患者さんが、現況を共有することもなく、突然別の病院に移ってしまう状況です。
先方の獣医師は、その患者さんの病歴や治療経過を私よりも熟知しており、今回の新しい症状との関連性を見つけられる可能性があります。

また、飼主さんも、これまでお世話になった主治医に感謝の気持ちがあるのではないでしょうか。
何かの商品が欲しくて、いつもの店で買えないから別の店で買い、それが便利そうだから今後はそちらに切り替える、というような話とは違います。

私は、動物病院における獣医師と飼主の関係は、そんな軽々しいものではないと思っています。
特に、ウサギ診療のようなニッチな分野では、飼主さんは苦労して信頼できる獣医師を見つけたはずです。
だからこそ、先方の獣医師としっかり議論し、双方が十分納得した上で、新しい治療方針や病院を選んでほしいと考えています。

その方が、大切な愛兎のためになると信じています。

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