顔を見ない
「◯◯さ〜ん!」と呼んだら、違う飼主さんが入ってきた。
まあ、うちの病院では日常茶飯事。
普段なら「あれ? あっ! 違う違う」とすぐに気付くのだが、この日は私がろくに顔も見ずに話を始めてしまった。
しかも不運なことに、別ウサギの血液データなのに病態がそっくり。
違和感ゼロで最後まで堂々と説明。
飼主さんも「へぇ〜そうなんだ」と真剣に聞いている。
お互いまったく気付かないまま診察終了。
そして飼主さんが去った直後、スタッフから一言。
「先生、今の方……別の飼主さんです」
血の気が引いた。
慌てて待合室に飛び出して、大声で謝罪。
――いやもう、恥ずかしいのなんのって。
結論。
「ウサギの血は読めても、人の顔は読めない」
これが、私という人間の診断結果です。
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