逃がさんよ
診察時、私の“尋問”から巧妙に逃げようとする飼主さんがいます。
食事内容や飼育環境について原因を探ろうと、いくつか質問を重ね、いよいよ核心に迫ろうとすると――つまり、飼主さん側の落ち度が浮き彫りになりそうになると、突然まったく関係ない話題に切り替えてくるのです。
何度追い詰めても、相手も絶妙なタイミングで話をそらす。
もはやこれは“確信犯”と言わざるを得ません。
思い当たる節のある飼主さん。
週末の激混み診療日には、来院を見合わせた方がいいかもしれません。
なぜなら私は、無駄なやり取りに時間を割かれると、いつも以上に執念深く問い詰めるからです。
「それ、今の話に関係ないでしょ? こっちの説明、まず最後まで聞いてください」
「ぼーっとしてるように見えるけど、ちゃんと理解できてる? ここ、大事なところですからね」
――こんな物言い、コンプライアンス全盛のこのご時世には考えられないレベルでしょう。
それでも何とか診察をまとめ上げ、ようやく終了。
ところが待合室に戻った飼主さんが、愛兎に向かって
「も〜、オヤツダメだってさ!ちゃんと先生の言うこと聞いてよっ!」
と八つ当たりしているのが耳に入ってきました。
……ちょっと待て。
「オヤツを与えてたのは“あなた”でしょ?
悪いのは“あなた”。悔い改めるべきも“あなた”です!」
――最後まで、逃がしません。
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