落としのO
ウサギの診療において、飼主さんの意図しない飼育ミスを聞き出す場面で、私は無意識のうちに、つい厳しい表情で尋問のような口調になってしまうことがあります。
もちろん、決して飼主さんを責めたいわけではありません。
知らずにやってしまったことは、誰にでもあること。
だからこそ、正直に話してもらい、適切な治療と改善策を講じて、再発を防ぐことが大切だと考えています。
「一刻も早く真実を知りたい」——その一心で、つい詰問調になってしまうのです。
では、そのときの飼主さんの気持ちはどうでしょう。
「わざとじゃないけど、正直に言ったら怒られそうだな」
「できればそのことには触れずに、早く治療だけしてほしい」
——そんなふうに思われているかもしれません。
でも、私は納得できないのです。
だって、原因をきちんと突き止めたいから。
そんなときに頼りになるのが、スタッフOの存在です。
彼女は、私には到底真似できない“女性の優しさ、淑やかさ、丁寧さ”をもって、私の後に、再び飼主さんにそっと語りかけます。
すると、不思議なことに、ぽつりぽつりと新たな事実が明らかになっていくのです。
私は彼女を「落としのO」と密かに呼び、一目置いています。
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