残念で可哀想に思うとき
残念ながら、ウサギには難治性の病気が数多く存在します。
難治性とは、通常の治療を行っても十分な効果が得られず、治りにくい、あるいは長期間にわたり病状が持続・再発しやすい病気や症状を指します。
ウサギの場合、不正咬合、顎下膿瘍、慢性の消化管うっ滞、斜頸、慢性鼻炎、慢性腎不全などが挙げられます。
このような場合、獣医師は「完治」を目標とするのではなく、
・生命の維持・延命
・症状のコントロール(寛解・安定)
・QOL(生活の質)の維持・向上
・病状の進行抑制や再発予防
に重点を置いた治療に専念します。
その際には、飼主さんの気持ちや生活背景も含めた治療を目指すため、十分な話し合いのもとで方針を決めていく必要があります。
「どれだけ長く生きるか」よりも、「どのような状態で生きられるか」が大切だと、私は考えています。
難治性の病気を抱えた愛兎とともに当院へ通ってくださる飼主さんの多くは、深い愛情をもって愛兎と向き合い、熱心に看病をしてくださる方々です。
その姿には、いつも頭が下がる思いです。
「この病気が治る可能性は何%ですか?」
「あと、どれくらい生きられますか?」
そうした質問をされる飼主さんのお気持ちは、十分に理解できます。
個々の状態による差が大きく、時には予想外の反応を見せてくれるのが「生き物」ですから、正確にお伝えするのは簡単ではありませんが、できる限り分かりやすく説明するよう努めています。
しかし中には、患者の状態を思ってというよりも、飼主自身の苦痛から逃れたいという気持ちから、そのような質問をされる方がいらっしゃるのも事実です。
長年この仕事をしていると、どれほど丁寧な言葉を選ばれていても、飼主さんの本心は伝わってくるものです。
そのようなとき、非常に残念で、そして悲しい気持ちになります。
(8 投票, 平均: 1.00 / 1)