歯根膿瘍
不正咬合などによって歯を支える組織に感染が生じ、膿がたまった状態を指します。
口腔内や顔に異常な腫れが見られ、食欲減退、歯ぎしり、よだれなどの症状が現れることがあります。
腫れた部位を切開すると白い膿が排出される場合もあります。
基本的には、膿瘍のある歯は抜歯が推奨されますが、私は患者さんの食生活、体力、年齢を考慮し、抜歯ではなく抗生物質や膿瘍の切開排膿による管理を選択することが多いです。
もちろん、完治やさらなる症状の改善が見込める場合は抜歯を選択します。
患者さんの見た目の変化だけでなく、レントゲン検査による歯と周囲組織の確認、さらに口腔内を観察して歯と歯肉の間から膿が出ているかを確認し、病状を正確に判断します。
通常、私は無麻酔で臼歯の処置を行いますが、その際には膿の有無や歯の状況について飼主さんに説明するよう努めています。
一般的に、この病気は慢性化することが多いです。
ウサギは毎日歯を使って食事をするため、病状が変化しやすく、治療によって一時的に安定しても再び悪化することがよくあります。
そのため、飼主さんにはその旨を伝えておくことが大切です。
過去に、顎の骨折事故から不正咬合が生じ、非常に大きな顎下膿瘍にまで進行して転院してこられた患者さんがいました。
治療に相当苦労しましたが、なんとか安定化して患者さんは元気を取り戻しました。
しかし、再び悪化した後に飼主さんが「歯根膿瘍については聞いていない」と、他所で不満を漏らしたことを知りました(地獄耳ですな)。
私は不正咬合から下顎膿瘍に至るまで、当然歯根膿瘍も発生していたため、そのことはレントゲン写真や口腔内の確認を通じて説明したつもりでしたが、伝わっていなかったようで、落胆させられた苦い経験があります。
苦労した患者さんだけに、思い入れがあるので尚更です。
この病気は完治が難しく、大切なウサギが生きている間、変化に合わせて治療を続けていく必要があります。
そのため、飼主さんの理解と信頼がとても重要だと痛感します。
また、地道に通院を続けてくださる飼主さんには、本当に頭が下がる思いです。
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