交雑種の呼び名について
先日、懇意にしているペット業者さんと雑談していたときのこと。
ふと「雑種」とか「ミックス」とか、ウサギではおなじみの「ミニウサギ」なんて言葉の話題になった。
普段なんとなく使っている呼び名だけど、改めて考えると、けっこう歴史やニュアンスが違うものだ。
まず「雑種」
この言葉は本来、決して悪い意味ではなかった。
家畜の世界では昔から、肉量を増やしたり、病気に強くしたりと、目的を持って交配を重ねてきた歴史がある。
その中で生まれた“雑種強勢”という現象は、異なる血が混ざることで成長がよくなったり、繁殖力が高くなったり、健康に強くなったりするもの。
つまり雑種は、本来“性能を高めるための交雑”という、むしろポジティブな言葉だったわけだ。
ところが一般の世界では、長く「雑種=価値が低い」というイメージがくっついてきてしまった。
そこで柔らかい言い方として使われ始めたのが「ミックス」
犬や猫の業界で広まり、語感もかわいらしく、すっかり定着していった。
たしかに売り場で「雑種です」と言うより「ミックスです」と言ったほうが、ずっと角が立たない。
「ハイブリッド」という呼び名もあるが、これは元々もっと広い学術用語。
種間交雑まで含む言葉なので少し専門的で、どこか“人工物っぽい”印象もある。
ただ、私の記憶では一時期、ちょっと高級感を出したいペット業界が好んで使っていたことがあった。
言葉ひとつで雰囲気を作るのは、商売の知恵というべきか。
そしてウサギの世界では、独特の呼び名として「ミニウサギ」が生まれた。
これはペットショップが「雑種」と言うより、響きが良くて可愛らしい名前をつけたのが始まりらしい。
実際にはいろいろな血が混ざっていて、成長後の大きさも性格も読みにくい、いわゆる“ミックスウサギ”の総称である。
だから「ミニウサギで買ったのに、けっこう大きくなった」という声は昔から多い。
“雑種だから小さいはず”というのは、あくまで傾向であって保証ではない。
そんな話をひとしきりしたあと、業者さんがぽろっと言った。
「売り場じゃ“雑種”とは言わんよ。“ミックス”だね。
“ハイブリッド”は商魂が透けて見えるから使わないな。」
なんとも率直で、なんとも現場っぽい言葉だ。
呼び名には歴史も文化も、そしてちょっとした商売上の工夫も混ざっている。
普段当たり前に聞く言葉にも、実はそんな背景があるんだな、と改めて感じたできごとだった。
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