サンドイッチ

先ほど述べた通り、無事に手術を終えたあとは、すぐに飼主さんに愛兎の状態を確認していただきます。

まだ麻酔から完全には覚醒していない段階ではありますが、呼吸や心拍が安定していること、そして手術部位の状態を実際にご覧いただくことで安心していただきます。
あわせて、摘出した臓器についても、どこに異常があったのかを目で見てご説明します。

一通りの説明を終え、飼主さんには安心していただいたうえで一度ご自宅へお帰りいただくのですが、その際に、優しい飼主さんがサンドイッチの差し入れをしてくださいました。
しかも、私とスタッフの分も含めて3つ。
ありがたすぎます。

当院では、午前の診療終了後すぐに手術を行っています。
理由はシンプルで、昼食前のほうが緊張感を保てるからです。
……つまり何が言いたいかというと、
手術後は、全員めちゃくちゃ腹ペコです。
さっきまで命と向き合っていたとは思えないほど、次の瞬間には「食」に対する本能がむき出しになります。
そんな極限状態で、目の前に現れたサンドイッチ。
しかも今回は、3つすべて種類が違うという神仕様。
――戦争です。

いつものごとく、真剣勝負のジャンケンで決着をつけることになりました。
院長だろうがスタッフだろうが関係ありません。
この場は完全実力主義です。
そして、全員の視線が一点に集中。
(……あれが欲しい)
言葉にせずとも伝わるこの一体感。
まさかの、狙い全被りです。
静かに高まる緊張感――
「いくぞーっ!(完全に猪木の口調)最初はグー、ジャンケンほいっ!!」

――結果。
私、全敗。
嘘でしょ、のレベルではありません。
見事なまでの完敗です。
その瞬間、
「オーマイガッ!!!」
院内に響き渡る絶叫。
ついさっきまでの手術室とは思えない温度差です。

スタッフは大爆笑しながら一言。
「この状況、飼主さんが知ったらドン引きだよね(笑)」
……ごもっともです。
なお、私は第三希望のサンドイッチを手にしましたが、空腹という最高のスパイスにより普通にめちゃくちゃ美味しかったです。
というわけで、あえてここに晒しておきます。
手術中は全力、その後はジャンケンも全力です。

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