ウサギの薬について
私が日常的に使っている薬の種類は、いったいどれくらいあるのでしょうか。
実のところ、数えたこともありません。
動物病院で獣医師が使用できる薬には、いくつかのルールと分類があります。
人間の医師と同じように、獣医師免許を持つ者だけが処方・使用できる薬(動物用医薬品)が存在し、さらに人用医薬品を動物に適応外使用することも可能です。
動物用医薬品とは、厚生労働省や農林水産省の認可を受け、動物用に製造・販売されている薬剤で、イヌ・ネコ・ウマ・ウシ・ブタ・トリなど、動物種ごとに対応した製品が用意されています。
ウサギを飼っている飼主さんが驚かれることのひとつに、現在の日本では「ウサギに正式に承認された動物用医薬品」は存在しないという事実があります。
ウサギの診療に用いられる薬剤は、すべて適応外使用として、獣医師の裁量と知識によって選択・使用されています。
これまでウサギ用医薬品の承認が進まなかった理由としては、以下の点が挙げられます:
・ウサギ市場は治験対象としては小さすぎる。
・消化器や代謝特性の違いにより、投与リスクが高く、十分なデータが得にくい。
・法的なハードルが高く、製薬会社にとって申請のメリットが少ない。
このような背景があり、ウサギ専用薬の新規承認が今後も見込まれにくいのが現状です。
こうした実情を踏まえると、ウサギの診療においては、獣医師一人ひとりの知識と裁量が、イヌやネコ以上に色濃く反映されると、私は考えています。
例えば、他院から当院に転院されてきた患者さんの薬歴を伺う際には、いつもとても有意義な学びを得ています。
もちろん、その逆に私が処方した薬が他院で参考になることもあるよう願っています。
各々の獣医師の裁量が大きく関わる診療だからこそ、転院時には飼主さんによる正確な薬歴の共有が、とても重要だと感じています。
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