その元気は本当か?

ある飼主さんとのやり取りの中で、ぜひ皆さんと共有すべきだと感じたことがあり、ここに書かせていただきます。

そのウサギは、身体の一部に定期的な処置を要する疾患を抱えています。
詳細はここでは触れませんが、日頃から丁寧にケアされ、大切に飼われている子です。
ところが最近、飲み食いの量や仕方に変化が見られるようになりました。
心配になった飼主さんは、かかりつけの動物病院を受診しましたが、ウサギが暴れるという理由で、症状の核心に迫るような検査や確認は行われなかったそうです。

そのため、飼主さんの不安は払拭されないまま。
ただ、「サークル内では元気に飛び跳ねているし、仰向けで寝ているし……これはどう判断すればいいのか?」というものでした。

たしかに、よく言われるように「ウサギは症状を隠す動物」です。
一方で、「痛みに弱く、すぐに食べなくなる」という側面もあります。
この二つは一見矛盾しているようですが、実はどちらも正しいのです。

ウサギは、自然界では捕食される立場(被食動物)です。
弱った様子を見せることは、すなわち命取り。
だからこそ、本能的に無理をして「平気なフリ」をするのです。
しかしその実、ウサギは非常に繊細で、ストレスや痛みに対しては極端に敏感な生き物でもあります。
軽い不快感であっても、それをきっかけに食欲が落ち、動かなくなり、病状が一気に進行することも少なくありません。

ですから、「いつもと違う」「なんとなくおかしい気がする」と飼主さんが感じたその瞬間から、愛兎の健康状態を見直すべきタイミングなのです。
「でも元気そうだから」「もう少し様子を見ようかな」という判断は、“生理的に弱い”ウサギには危険な賭けになります。

ウサギは、どんなに健気に平気な顔をしていても、実はずっと「軽い痛み」や「不快感」を抱えながら過ごしているかもしれません。
それを想像すると――やっぱり、可哀想だと思いませんか?

ちなみにこういう話を受けても「当院に来てください」と、私からは絶対言いません。
それを言うのは、家族や親戚にだけです。
どこの病院で診てもらうかは、最終的に飼主さん自身が判断すべきことです。
その選択が、後々に不必要な誤解や不満を生まないためにも、私はそうしています。

家族や親戚なら、たとえ意見がぶつかっても、何とかしてわかり合える自信があります。
けれど、他人に対してまでそれを求めるのは、やはり難しいと感じています。

「どこで診てもらうか」は自由であるべきです。
でも、「診てもらうか否か」は、命に関わる判断であることを、どうか忘れないでください。

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