急を要しない手術に挑む前に

ウサギはレントゲンを撮ってみれば明確だが、他動物種と比べて呼吸領域が狭い生きものなので、それが抑制される麻酔・手術には注意が必要だと思っている。

患者が歳を重ねたり肥満であれば、その注意度は更に高まると考えてやっている。

飼主でも発見しやすい体表の腫瘤、わかりやすく言えば「できもの」「しこり」は、発見され次第直ぐに「やばいっ、癌かも、取り除かなくては」と早急な解決を求める飼主と患者の来院で見られる。
気持ちはわかる。
自分も飼っているウサギに、そのような「できもの」ができたら心配になるし。

ただ、自分は己を用心深い性格だと思っているし、少しでも危険要素を除去して麻酔・手術に挑みたい獣医師なので、自分が緊急性がないと判断した「できもの」に関しては、患者のコンディションを整え、理想体型に近づけることを優先している。
理想の体型・食餌状態なら、手術だけでなく術後の復活もより安全だし。
飼主が愛兎との主従関係を未構築ならそれも築いてほしいし、投薬など術後管理の方法も伝授したい。
要はしっかり飼主・患者と準備・信頼を構築して挑みたい。

残念ながら愛兎にできた怪しい「できもの」を、手術する前に悪性or良性を100%判断する方法を、勉強不足の私は知らない。
手術後に切除した組織を病理検査に出して白黒つける方法を取っている。
そう、手術後だ。
だから手術する前に、これは絶対悪性だとも良性だとも断言はしないが、経験的に◯性の可能性が高いと説明することはある。

愛兎の「できもの」が心配で、もしくは関係ないことで来院して、突然「できもの」を私から指摘されたら驚くだろう。
さらっと見ただけで言われたら「本当に見たんか?」と疑いたくもなるだろう。
こっちは患者にストレスかからないよう、診察台上でアクシデントが起きないよう配慮してのことで、先ず説明させて頂いて、それでも飼主は即断できないだろうからワンクッション置いて、先にもし手術に向かうならその準備として、肥満と食餌、コントロールや投薬の説明をさせて頂いている。
初診であれば、飼主の人となりも患者の性質や既往歴もわからないから、尚更挨拶程度の診断で済ませる場合もある、緊急性がなければ。

私は今までもこれから先も、ウサギを診るに当たってはこういうスタンスでやるのが、一番トラブル・アクシデントなくやれると思っているからそうし続ける。
それに不満がある患者、、、いや、患者は不満も何もないか、訳分かって来院してないし。
不満がある飼主には、私からはこう言わせてもらう。

これから先、互いに関わることなく生きていきましょう。
2度と「またぐなよ」

1つ星 (10 投票, 平均: 1.00 / 1)
読み込み中...

コメントは受け付けていません。

このページの先頭へ