逃げるウサギを捕まえるのは無理ですから

非常に速いもののたとえとして、「脱兎」という言葉があるように、逃げる動作に入った愛兎を捕まえる術は、飼主さん、もちろんスタッフや私にもありません。
院内でウサギの逃走劇が起きたことが過去に一度もないのは、縄張り外でウサギが緊張する場であるとともに、我々が逃げの動作に入られる前に対策を講じているからです。

初診の場合、すぐに診てもらいたいだろう飼主さんがキャリーを開けようとしても制止して、しばらく私の話し声を聞かせ(そのときは故意に声張ってます)、ウサギの反応観察し、その性格を測ります。

経験的にウサギに最初に触れるのは、可能な限り上半身、できれば顔面で、すぐ目隠しができるようにしています。
下半身から保定しようとすれば、ウサギは必ず脱出しようと激しく抵抗しますし、胸元を押さえつけることは、彼らの繊細な心肺機能にストレスをかけます。

診察台上では、これも経験則ですが、視線は合わしておいた方がじっとしてくれます。
私は、頼むから動くなよー、と念を入れ険しい顔つきで診察スタート。
カルテに記載するなど視線を外すときは、スタッフか信頼出来る飼主さんのアシストを期待しつつ、自らも可能な限りウサギに触れた状態にします。
そうすることで、少しでもウサギの逃走本能が湧き起こるのを抑えます。

ウサギが我慢できる時間には限界があり、それはトレーニングや場数で長くなるものではないと思っています。
ですから診察台上での時間が早く終了するように、可能な限り効率よく診療が進むよう見積し、終わったら素早くキャリーにウサギを返したいです。
それが上手く叶えば、次回来院時も「仕方ねーな、このオッサン、何か嫌なことやるんだろうけど、少しなら我慢してやるか」とウサギは協力的になってくれます。
しかし、私の手際が悪くて診直したいことがあったり、飼主さんが「あっ、あれも診て欲しかったんですけど・・・」となり、再びキャリーから出すことになると「なんだよっ、終わったんじゃねーの、次覚えとけよっ」となる可能性大です。

もし一連の過程でウサギが逃げそうになっても、力尽くでコントロールしようとするとウサギは骨折します。
そのようなときは、先ずは何より目隠しです。
これも経験則ですが、よほどパニクって前後不覚になっていない限り、殆どのウサギが目隠しで静止できます。

仰向け保定は、当院では基本的にNGとしています。

自宅で投薬強制給餌する際も、先ずこれらができる事が前提になって、その後それぞれの手技の習得になると思います。

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