謎だらけのウサギ飼育温度

毎日暑いですから飼主さんも気になるのでしょう。
数字で明確に記載されていて、情報源それぞれに数値が合致してないから、どれを信用していいのか困惑してしまいますよね。

そこで、困った飼主さんの手助けに少しでもなるように、手元の文献を拾ってみました。
以下にあげる数値は、全て獣医学文献の記載であり名称も載せます。
他所で目にする根拠の無い数値ではないです。ではいきます。

1、「うさぎの畜舎の理想的温度は16℃」
うさぎの臨床 Lieve Okerman著 1994年発行

2、「ウサギの入院室内の温度は21〜23℃ぐらいに保つべきであり、27℃を超えると熱中症のおそれがある」
ウサギの内科と外科マニュアル<第二版> Donna Brown and Gidona Goodman著 2009年発行

3、「ウサギは28℃以上の気温に異常に感受性があり、高温に対する防御機能はほとんどない」
フェレット、ウサギ、齧歯類 内科と外科の臨床 Thomas M. Donnelly著 1998年発行

4、「最適な環境温度 15〜20℃」
Textbook of Rabbit Medicine Frances Harcourt-Brown著  2008年発行

5、「理想温度 18.3〜23.9℃ 理想湿度 30〜50%」
エキゾチックアニマルの診療指針 霍野晋吉著 1998年発行

6、「健康な若いうさぎは通常4〜28℃の範囲には適応するが、」
実践うさぎ学 斉藤久美子著 2006年発行

以上、私がウサギを診療するに当って、大変お世話になったベーシックな文献をあげました。
改めて読んでみて分かったのですが、バシッと理想域を出してくれているのは5のみで、他は文章中に記述があるものでした。

1と2に関してはヨーロッパの文献であり、元々寒い気候と外飼いが一般的な飼育法なのが前提で語られています。
3と4はアメリカの文献で、5と6は日本の獣医師のものです。
5と6の記述で気をつけるべきは、理想温度と適応温度は異なるということ。
国語力がある方なら、ウサギに気分がいいのは理想温度だと分かりますよね。
ですから一般的にウサギの飼育温度とあれば、理想温度を記載するべきだと思います。

獣医師著の文献でも記載の仕方がバラバラで、それを受取った側が伝達ミスするといよいよ混乱する原因になります。
記載する数値の出どころを明確にし、読んでくれる飼主さんの正確な判断の助けとする事が必要だと思いました。

尚この中で、私が普段診療に際して飼主さんに説明している数値は5です。
また、獣医師としての私見は、新ブログの「ウサギ飼育至適温度」で述べましたので、参考にしてください。

 

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