真相

2005年の引退から12年、元世界ヘビー級3団体統一王者マイク・タイソンの自伝。

600ページ以上の分厚いボリュームだったが、その生い立ちから、ボクシングとの出会い、プロでの栄光と様々なトラブル・事件、収監生活から復活、引退後の現在に到るまで、文字通りの波瀾万丈を興味津々で読めた。

ボクシングの世界で成功を収めるとともに、自己の傲慢とエゴを膨らませ、それを自制できず幾度も失敗する姿が正直に語られている。
当時のプロボクシング界で最も大金を稼いだ選手であったのは、自他ともに認めること。その実態として2000年の年収70億円は唸る金額だが、それに対して散財、人件費、引き起こしたトラブルに対する裁判・弁護士費用等により赤字だったとは、マイケル・ジャクソンと同等の金銭感覚の崩壊ぶりで、最終的には自己破産に至ってしまう。

人生最大の悲しみを乗り越えて、やっと再生して感動のエピローグ・・・と思いきや、最後に「エピローグへの追伸」があり、そのたった4ページ読むだけで、著者の今後にただならぬ不安を感じさせるが、不思議と悲愴感を感じない。

監訳者のジョー小泉が例えた如く、落語の与太郎、とんでもなくスケールのデカい与太郎話なんだと納得。
その話まだ終わってなさそうだから、今後も著者からは目が離せません。

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