疲労とはなにか すべてはウイルスが知っていた

長引く風邪をしっかり治そうと、休日は大人しく自宅でベース弾いたり読書するようにしてる。

先日ネットニュースで私的に衝撃が走った「うつ病の原因は、ヒト体内で潜伏感染しているヘルペスウイルスが産生する遺伝子」という研究発表。
その発見者の著書を一気読みした。

本書は最初に「疲労」の科学的メカニズムを説明し、それを生理的疲労と病的疲労に区分、そして病的疲労の代表格である慢性疲労症候群、うつ病、新型コロナ後遺症の謎解きに向かう。

ウイルス研究の第一人者である著者は、巷で現在最先端と認識されているゲノム解析は、もう既にやや期待外れに終わったと言い切り(その理由は本書でも詳しく述べられている)、再びウイルスの時代が来るだろうと予言するが、その言葉に十分な説得力を持たせる一冊だ。
しかし最初に断っておくと、大学で嫌々「微生物学」「ウイルス学」「生理学」やら「薬理学」の知識を頭に詰め込んだ経験を基に読めば容易だが、一般的には化学用語や実験内容の理解が多少難しい書だ。
ただそれでも、理系頭だけでなく文系頭も秀逸であろう著者の文体は非常に分かりやすいので、自分は3時間で読めた。
そしてせっかく習得したのにややこしく成りがちな知識は、毎章末の「ポイント」と巻末の索引を利用して再読しやすくなっている。

本編からは少し逸れるが、新型コロナ後遺症の章で設けられたコラム「現代の魔女狩り・アセチルコリンの悲劇」は、私的に非常に興味深いものだった。
著者が実際に経験した論文提出時のトラブルを例に出し、ニコチン(=タバコ)を無条件に断罪する世の中に警鐘を鳴らし、過去に読んだ文献と併せて喫煙者を鼓舞してくれた。
ニコチンには脳内炎症を抑える働きがあって、うつ病や新型コロナ後遺症の治療薬になるかもしれないなんて。。。未来は今と違って「脳の健康のために適度な喫煙」の時代になっているかも。
特に、自分が嗜んでいるからという訳ではないが、やはりオススメは葉巻とパイプ
嗜好品というより健康法としてどうよ?

そして最終章では完全に著者の考察なのですが、石器時代のネアンデルタール人の絶滅理由と映画「スター・ウォーズ」、「聖書の記述」を絡めた壮大なSFファンタジー、しかし解説内容は全て科学的根拠を持った興味深いもの。
これ、ウイルスを主役にしたアドベンチャー映画ができそう(笑)

日本だからこそ成し得た(その理由も本書に述べられている)「疲労学」の最先端、超オススメの一冊。

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