心霊電流
スティーヴン キング翻訳本の最新作。
本国では2014年に上梓されており、著者が初めて挑んだミステリーもの、ビル・ホッジズ・シリーズの1作目と2作目の間の時期に当たり、初めての仕事に挑みながら、合間を縫って本領発揮の力作をぶち込んでくる、無尽蔵の創作力に驚かされる。
キングの手慣れたスロースターターな進行によって、読む方もいつも通り上巻は休み休み、しかし後半怒涛の狂気展開に目が離せなくなり、下巻はノンストップ徹夜で読了。
今回の主人公はミュージシャンの設定で、これも著者のお得意分野であり、実在と架空のバンド・曲が混在し、その虚実入り混じり度合いが、クライマックスの現実離れした展開にリアル感を持たせている。
本国のキリスト教原理主義者からは、強烈な非難を浴びそうな作品だ。
他作品とのリンクも散りばめられて、マニアには何度も読み直し、それらを解く楽しみもあるらしい。
著者のハイペースな活動に、ついていくのがやっとの自分には、なかなか叶わない楽しみだが、いつか読み返して確認してみたい。