マイノリティーの拳
本書はアメリカに渡ってノンフィクションライターになった林壮一氏が、10年の歳月をかけて、苦労して作り上げた、本人も認める代表作。
10年以上前に刊行されたものだが、文庫版のあとがきとして3年前に追記されたものも、短いが読み応えあり、同世代著者の苦労話に共鳴した。
ボクシングの本場アメリカでチャンピオンとなり、ある程度防衛を重ね、真の実力を証明すれば巨万の富が得られ、その後の生活は充実したものとなると想像しがちだが、その幻想を無残にも打ち砕く話。
しかし、そんな中でも懸命に生きるチャンプ達と、異国の地アメリカで作家として厳しい修行に身を投じる著者の姿に感動します。
最終章が、セカンドチャンスをものにしたジョージ・フォアマンの話だったので救われた。
読了後、登場した選手達の動画を漁ってしまいました。
なかでも観入ったのがこれ。
この口笛。真似たくなりますよね。