いつかの夏

N師匠からの課題図書。
雪の日に一日で読了。

2007年、名古屋で起きた闇サイト殺人事件を追ったノンフィクション。

事件の舞台が10年前の地元、それも当院から遠くない、なかでも犯人たちが犯行を計画話し合ったファミレスが、すぐ近所だったということに驚くと同時に、このような鬼畜の所業をする人物たちが、間近に存在したことを改めて認識し、気分が悪くなった。

読み進んで最も興味がいくのは、やはりこれだけの犯罪を犯した3人が、法によってどのように裁かれるか? だが、永山基準に固執して良識のない法曹界と、確実性のない犯罪鑑定制度は、読む前から予想通りで憤りしかない。

常々、犯罪鑑定は犯罪者を減刑する手段でしかなく、そのうえ誤診も他の医療科より圧倒的に多いと推測されるし、挙句誤診の責任も問われない異質な職種だと思っていた。
自分でもときとして把握できなくなることがあり得る表層及び深層心理を、他人が診ることなど不可能、もっと言えばそれはおこがましい行為とさえ思っている。
なのに、常識から逸脱した犯罪者の心理を、学問のくくりで人間の所業として説明しようなど、自分にはとても理解できない。
だから本作クライマックスの展開に、やっぱりな、と思ってしまった。

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