飼主さんの言葉

3匹の愛兎の天寿を全うさせ、当院で8年間お世話させて頂いた飼主さんが、昨日挨拶に来院された。

最後に亡くなった子は、3匹のなかで最も暴れん坊なのに病弱で、当院で診させて頂くようになってからもずっと治療が途絶えないような子でしたが、11歳7ヶ月の長寿を全うし、私的にも思い出深い患者さんでした。
飼主さんは真面目で律儀、折に触れて手紙で愛兎の状況や飼主の心境を報告してくれた方で、昨日頂いた最後の手紙も何度も拝読させて頂きました。

この方に限らず、他にも沢山の飼主さんから手紙を頂きます。
飼主さんとしては、感情に流されない適切な言葉を伝えたくて、手紙という方法を選択されたのだと察します。

私は、普段から他人の話を聞かないのが欠点で、特に診察時は眼前の患者さんに集中しているので、飼主さんの話は最小限しか耳に入らない、要領が悪いと判断すると塞いでしまう人間です。
だから手紙という手段で飼主さんの真意を知って、驚いたり、感動したり、懺悔したくなったり、様々な感情が去来します。

ああ、こちらは当たり前のようにした治療でも、飼主さんはこんなに感謝してくれたんだ。
こんな風に思ってくれていた飼主さんに対して、思い出してみると随分キツいこと言ったよな。
可能な限り苦痛を和らげて、自宅で見守りながら長寿を全うさせた事実は、他のウサ飼いからしたら羨む存在だし、私としてもホッとした気持ちしかないのですが、やはり当の飼主さんにしたら今は深い悲しみしかないよな。

そんな辛いなか手紙にしたためて、わざわざ様々な思いがよぎる当院へ来てまで届けて下さった飼主さんの言葉は、深く自分の心に刺さって今後の診療に生かされる。
そうなるようにしないと私は人として最低だな、と昨晩は自戒しながら何度も手紙を読ませて頂きました。

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