昔のウサギと今のウサギ

診察時に、ウサギの餌はペレットを体重の1.5%、そしてあれやるなこれやるなと説明すると、驚いたのか辟易したのか自分より上の世代の方々から、彼らの幼少期のウサギ飼育話を、愚痴のように伺うことがある。

「昔は我々の残飯食べて放っておいても飼えたのに。。。」

自分も、幼少期に飼っていたウサギを思い出すと同意してしまう。

そもそも飼いウサギが日本に導入されたのはいつか?
シーボルトの「日本動物史」にオランダ人が持ち込んだと記載があり、それが最も古い記録とされており、およそ1530年代だ。
そして飼いウサギとして日本文化に定着したのが「アナウサギの日本飼育史」によれば、百兎図が描かれた1700年代とされている。
前述のシーボルトが日本に滞在していた1820年代、既に特徴的な品種は珍重され、さかんに繁殖飼育が行われており、当時から脱走飼いウサギが野生化することがあった。

1850年代に食用を目的としてニュージーランド・ホワイト種と交配改良して生み出された日本白色種は、1940年代まで毛皮・食肉として農家の副収入源になり、第二次世界大戦中・戦後の食糧難時代、戦後は学校飼育動物として飼育が推奨されてきた。
本品種は一般的に丈夫で粗食にも耐えるとされており、それが我々より上世代のウサギ飼育認識になっていると推測できる。
この日本白色種、現在は家畜としての需要減少によって、主に実験動物として利用される品種になっている。

また、1990年代まで飼いウサギの寿命は6年程度とされていたのに対し、現在は飼育法の改善と治療技術の向上によって10歳以上生きるウサギが珍しくない。
日本白色種と比べれば、明かに現在の飼いウサギ品種はデリケートな飼育が求められる上にこの長寿。

そりゃ、今のウサギに残飯与えて飼ったら、早々に失敗するって。

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