処置不可

何年か振り、2度目の来院した老齢ウサギ。

診察台上で怯え、興奮し、一時も休まずジャンプしようとする。
直ぐに息が上がり、お腹を上下させて喘いだ。

その過剰な興奮度合いが心配になり、レントゲン撮影させて頂き、心臓と肺に異常がないか調べた。
結果問題はなかったが、もうその時点で興奮・疲労度が限界で、目的の処置ができず。
飼主さんには、過去にこのような状況で強行突破試み、結果診察中に患者が亡くなった苦い経験を話し、ここは撤収するのが安全策であることを伝えた。

ウサギにとって、動物病院は最も嫌いな場所です。
ウサギにとって、私は最も嫌いな相手です。
それでも定期的に訪れてくれれば、嫌なりに慣れてくれます。
しかし何年か振り、ウサギ尺度でいえば何10年か振りに、恐怖の場所・人物に強制的に会わされると想像すれば、卒倒して倒れそうになる気持ちは理解できます。

飼主さんにしてみれば目的の治療が不可なのに、レントゲン撮影代だけ取られて憤慨かもしれません。
あとでネットで酷評される案件だと思います。
ただ、私としてはレントゲンで “異常がなかった” という診断は重要な意味を持ちますし、飼主さんの大切な愛兎を診察中に死なせない決断を下したことは正解だと思っています。

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