なぜ、日本の精神医療は暴走するのか

まだ、未解明な部分が多い医療といえ、ここまで前時代的な医療行為が現在も行われている(本書で紹介されているケースが全て最近のもの)のが驚きだ。

精神医療は、うつ病、双極性障害、統合失調症などを、特徴的な症状の有無とその程度から分類し、治療を開始するのだが、的確な検査法が確立されておらず(本書では近年画期的検査法として登場したNIRSの虚実もリポートしている)、診断は個々の精神科医の裁量に任されている。

解明することが困難な人間の心を治療する行為は、診る側の誤りによって、間違った治療が施される危険性も大きい。
その一例として、一過性のストレスがうつ病と診断され、抗うつ剤を連用し、その影響で次は双極性障害と診断され、副作用を考慮しない多剤長期投与が始まり、病状悪化に患者本人が気付いて薬を断とうにも、今度は離脱症状に苦しめられるという報告にはぞっとした。

本書は、すでに重度の精神疾患に苦しむ患者の、医療施設での人権侵害や、世間の偏見についても言及しており、ひょっとしたら明日は我が身という気持ちで読んだ。

安易に精神医療に頼ることは、非常に危険だという印象を強く持たせる一冊でした。

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