アナウサギとノウサギ
では、因幡の白兎は何故にノウサギと言えるのか?
物語では、白兎が淤岐島から因幡に渡るために、ワニを言いくるめてその背を利用して渡るのだが、最後に「ざまあみろ!」と捨台詞吐いてワニを怒らせ、毛皮を剥ぎ取られてしまいます。
アナウサギとノウサギの大きな違いはその生活様式にあります。アナウサギは字の如く地中に作ったトンネルで生活し、ノウサギは地上生活で定住することなく、転々と寝床を変えています。これは自分の匂いが残り、肉食動物に襲われる危険性を回避するためです。しかしながらそのような対策を取ろうと、アナウサギより危険頻度は高いノウサギ。もし襲われたときの最終手段として、毛皮が剥がれやすい構造になっています。そうです、トカゲの尻尾切りの理論で、捕食者に襲われたら皮だけ取らせて身を守るのです。
従って、因幡の白兎はノウサギと言えるのです。
ちなみに一見近縁に見えるアナウサギとノウサギ。染色体の数が異なるので交雑することはありません。
ペットウサギはアナウサギを家畜化したのがスタートで、初めてヒトに飼われたのはおよそ2000年前のイベリア半島からアフリカ北西部とされています。