◯は塩味があって目に沁みる

午前、ある老齢ウサギの診察。

初めから患者さんの四肢が、漏らした尿でビショビショなのは視界に入っていた。
処置をする前から嫌な予感はしていた。
「うちの子、尿で汚すかもしれないから気をつけてください」とか「ご迷惑かけるといけないから出直します」なんて気を配ってくれる飼主さんはまずいない。
愛兎の心配で頭一杯だもの。

ウサギにとってイヤな処置、殆どがそういう処置だけど、やれば暴れる可能性は当然ある。
かといって「暴れると尿が飛散し悲惨になるので診察不可能です」なんて絶対言えない。
言ったらネットにアホ獣医、ダメ獣医、動物愛ナシ獣医と匿名で糾弾必至。
それを怖れて、いや、そんなの関係なく完遂大前提で処置を進める。
危険ならまだしも「汚いかも」で止めるなんて選択肢は無い。

結果、予想通り患者さんは暴れて尿が周囲に飛び散った。
飼主さんはたった一言「すいません」で済ませて、一切掃除しようともせず愛兎の心配事の話に戻る。
患者さんは恐怖心故のパニックだから仕方ない、私的にも納得がいくから咎める気にはならない。
一方飼主さんがそのような反応するのは、尿の飛び散りを小事として捉えている証拠で、私の本心は次文に行き着く。

私は、顔にしっかり患者さんの飛び散った尿を浴びることで、尿とは仄かに塩味があり、目に入るととんでもなく沁みる液体であることを知った。
どうですか?
ついでに丁度いい機会だから、ただ遠巻きに見て喋るだけじゃなく、飼主さんも体験しませんか?
何せ貴方の大切な愛兎の尿なんだから。

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