1984年のUWF
N師匠からの課題図書。
本書は「スポーツ・グラフィック・ナンバー」2016年1月から1年間連載されたものを単行本化したもの。
ひとかどのマニアを自負している自分には、著者には失礼だが既知の話ばかりだろうと、たかをくくって読み始めたが・・・
1984年、第1次UWF最初の興行でのメイン、前田明(日明) VS ダッチ・マンテル。当時の様子を、海外スポーツ誌に掲載されたマンテルの証言をも参考文献に加え、詳細なプロットを構築するあたり、著者の並のマニアには太刀打ちできない見識を感じさせた。
もちろんこの行、自分は初めて知る興味深い話であり、本書にはそれがいたるところに散在し、既知の物語にどんどん肉付けされていった。
そして読み終えて一番心惹かれるのが、やはり日明兄さんなのである。
本書は、総合格闘技誕生のきっかけとなったUWFの歴史教科書完全版といえる。
何故、総合格闘技が日本で最初に根付いたのか?
本書の裏表紙、ルー・テーズの言葉に答がある。
「日本人は、この惑星で最も深くプロレスを愛している」
愛してるから故、知らなくていいことまで知ってしまい、それでも愛し続けるために、レスラーはプロレスを進化させ、観客は理論武装したのである。