怪物に出会った日 井上尚弥と闘うということ

今やボクシングファン以外にも、その存在が国民中に認知されているバンタム級アジア人初の主要4団体統一王者 “モンスター” 井上尚弥選手。

過去に著者が度重なる井上本人へのインタビューによって、その強さの謎を解き明かそうとするも、攻守完璧、ボクサーなら誰もが目指しても辿り着けない孤高の存在の彼からは「突き詰めていくと、あれはもう感覚なんですよね」という回答しか得られなかった。
それならば視点を変えて、モンスターと対戦した敗者たちから話を聞いたらどうか? という多分にセンシティブな試みを実現させた一冊。

本書には10人の対戦相手の証言が掲載されているが、どれも一人一人に井上戦の対戦相手にしかわからない鮮明な記憶と、敗戦後の味わい深い物語があって飽きることなく一気に読めた。
私的に、これ座右の銘にしようかと感銘を受けたのが、井上選手プロ第10戦目で、大方の予想を覆しフルラウンド戦い抜いたダビド・カルモナの試合前猛特訓中、トレーナー父が鼓舞する言葉。

「ハートを込めて練習しろ! ヘトヘトになれば金玉ですら重く感じるんだぞ!」

それを受けて激戦後、カルモナが発した言葉。

「金玉が重くなるくらい頑張ったよ」

最高です。このフレーズ、今後の人生で使わせてもらいます。

そして本書の最終章。
オマール・ナルバエスのJr.が、父の敗戦後にボクサーになることを決意し、将来井上選手との対戦を望んでいる行で締め括られているあたり、今後の物語としても最高の楽しみが得られた一冊でした。
しかしこのJr.の練習風景の顔つき。。。似てるわ〜モンスターに、ワクワクしちゃう。

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