インドの猛虎は成功者であり人格者

タイガー・ジェット・シンといえば昭和のビッグヒールで、新日本プロレスでアントニオ猪木と因縁の抗争を繰り広げた人気レスラー。

内幕は、ライバル団体の全日本プロレスが豊富な外人レスラーを所属させていたのに対して、タマ不足の新日本プロレスが当時無名のシンを凶悪なヒールに仕立てて、看板レスラーの猪木と飽きられない抗争を仕込んだもの。
しかしそこには、カメラが回っていないところでも狂ったように暴れる徹底したシンのキャラ作り、というより人格変貌があり、その究極が1973年、新宿伊勢丹で倍賞美津子夫人と買い物中の猪木を襲撃、警察が出動、新聞にも報道された一大事件だった。
そして翌1974年、抗争のクライマックスで試合中に猪木がシンの腕を折った。
自分が物心付いてプロレスファンになったのはそれ以降だったが、相変わらずインドの猛虎は健在で、 TV画面に釘付けになりながら、本気でそのラフファイトにイライラさせられたものだ。

そして時は流れ、自分も成長しプロレスのギミックを知って、格闘技やボクシングのようなリアルファイトに興味が移った後も、たまにネットニュースで猪木との抗争、いや、この頃は笑いも誘う定番劇を定期開催している様子を、よくもまぁこの歳になっても互いにやるよな、と感心して観ていた。

伊勢丹事件から半世紀、現在シンは77歳、プロレスで成功し財を成した彼は、地元カナダで様々な慈善事業を展開、とうとう自分の名前の公立高校まで開校した。
そして直近のインタビューで読んだ彼の姿勢に瞠目した。

「必ずしもカネが幸せを運んでくるのではない」タイガー・ジェット・シンが語った“狂虎の深層”

対して昨日観たTVでは、日本の大金持ちが宇宙から金配りをすることが話題になって、それに不快感を示すコメントが全くなかった。
昔の日本人なら “下品” の一言で断じた筈。

昭和の時代、日本で成功を収めた外国人ヒールレスラーの方が、日本人の美意識を継承していた。

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