ノマド

ノマドとは遊牧民や放浪者の意味、副題は「漂流する高齢労働者たち」
アメリカにおいて1930年代の世界恐慌にはトレーラーハウス生活者が急増、そしてリーマンショック以降住居を追われた人々は放浪型の車上生活者となった。

本書はリンダ、64歳の女性ノマドの1年を追うと共に、著者自らもその体験者となって、ノマド生活をリポートしたもの。
アメリカ2015年の国勢調査によれば、独居高齢女性の6人に1人が貧困ライン以下の生活をしているという。
しかし平均寿命は女性の方が男性より5年長いから、経済的に厳しい生活を強いられる時間は長い。
それが車上生活をしながら、短期の雇用を求めてアメリカ中を移動する季節労働者(ワーキャンパー)の彼らを誕生させた。
繁盛期のキャンプサイトやアマゾン倉庫、収穫期の農場、いずれも低賃金の上、年齢に不釣り合いな過酷労働を強いられる彼らは、それでも弱音を吐かず希望を持って生活している。

現在日本でのアウトドアに付随した車中泊ブームとは異なるシリアスな状況、しかし今後の経済を考えると遠からず日本も同様な状況になるのではと思った。
たぶん本書を読んだ以上の感慨は受けられないだろうから、本書を元に製作された映画「ノマドランド」は鑑賞しないだろう。

現在40〜50代、特に女性にオススメの書か。
読んで憂鬱にならず、今から対策練りましょう。

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