トランスジェンダーの私がボクサーになるまで

性同一性障害の著者(身体は女なのに心は男)が、胸を切り取り男性ホルモンを投与して見かけは男になったが、男としての人生を歩んでこなかったが故、男とはなんぞや? という疑問にぶつかり、その答をボクシングに求めた体験記。

てっきり著者はボクシングフリークで、男になった機会にどっぷりその世界に浸かり、真のボクサーとして歩むと勝手に想像していた自分には、少なからず拍子抜けだった。
本業はライターを営む著者の、体育会系というより文化系の回りくどい表現は、ひたすら血と汗と涙を流し、ボクシングを通じて男を学ぶ過程だけを期待した自分には読み辛い。

数ヶ月間必死にトレーニングを積み、チャレンジマッチに出場し、男を開花させながら惜しくも負けて、悔しい思いと作り上げた肉体を放棄して、その後綺麗さっぱりボクシングから足を洗えるとは。
著者は満足いく答を得たかもしれないが、それじゃあ真の男じゃないよと言いたくなってしまう。

正確には、トランスジェンダーの著者が “ボクサー” になったのではなく、”ボクシング体験” から学んだ一冊だ。

1つ星 (まだ評価がありません)
読み込み中...

コメントは受け付けていません。

サブコンテンツ

このページの先頭へ