スイート・マイホーム
行きつけの書店で偶然目にして、その帯に踊らされて衝動買いした一冊。
読んでいて感じた恐怖心は、20年前に読んだ貴志祐介の「黒い家」を思い出す。
両方とも題に「家」、狂気を「黒い瞳」で表現するところが共通している。
怯えるのに読み進むことを止められない、好奇心を駆り立てる作用も同様。
特に本作は、三部構成で第一章が全体の半分以上を占めるのだが、ここを読み終えた時点で、まだ、その狂気の正体も発信源も推測できないから、得体の知れない恐怖心と共に、先を急いで読み進めざるを得ない。
ラストの衝撃と共に感じた哀しみは、これまた30年以上前に読んだキングの「ペット・セマタリー」を思起した。
著者は歯科衛生士として歯科医院に勤務しており、4年前から小説を書き始め本書を上梓した。
文理双方に才能を有するって、本当に羨ましい。