アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル

51作目

2017年アメリカ制作の伝記作品。
1994年に起きた「ナンシー・ケリガン襲撃事件」をクライマックスとする、アメリカの元フィギュアスケート・オリンピック選手トーニャ・ハーディングの半生。
本人と身近な人物のインタビューに基づいた回想録とその再現。
それぞれの発言に差異があってもそのまま伝えて、観る側の審判に委ねる形になっており、決して主人公トーニャの主張擁護作品にはなっていないので、抵抗なく鑑賞できた。

対母親、対恋人から旦那、現在の規制と厳罰化の進んだ世の中には、少々ショッキングな軋轢がストレートに表現されているが、たぶん誇張なく現実に即した再現になっているのだろう。
昔はそういう時代だった、と想像しながら主人公の現在の年齢を調べたら、ほぼ同世代だったので、程度の差こそあれ、自分もそういう時代を生きてきたことになる。

たぶん見方を変えれば、自己中心的で反省のない嫌な人間像になると思うが、作中の、どんなに心身をズタズタにされても「女の子らしくなろうとはしなかった」、彼女の決して屈服しないしぶとさは、下手すると憧憬の念を抱きかねないほど。

昨今のフィギュアスケート・ブームは全く興味のない世界だが、VFXを駆使した試合の模様は、無関心なその目で観ても臨場感と興奮があった。
そして本作から察するに、彼女の半生で最も動揺したであろうこの場面は、やはり鑑賞後に実録映像を観てしまう。

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