応援しないで
超高齢になったウサギでも、定期的に来院せざるを得ない病気、例えば臼歯の不正咬合など、当院ではできるだけ患者の負担軽減を考え無麻酔で処置しています。
無麻酔だから当然ウサギの意識は明瞭です。
お爺ちゃん・お婆ちゃんなのに、気が強い者は私に対して相変わらず喧嘩腰だし、隙を見せれば全力で脱出しようと試みます。
しかし、最大限興奮させないよう&息が上がらないよう、スタッフが長年の経験で獲得した絶妙な保定をしてくれるので、私は信頼して処置に専念できています。
当院では、その処置の全行程を飼主さんにも間近で見届けてもらう方針を取っています。
・・・が、飼主さんも緊張するんでしょうね、時として思わず
「○○ちゃん、頑張ってっ!!」
なんて応援しちゃう方がいて。
さて問題です。
言語を理解しないウサギ、治療という概念のないウサギ、自分の置かれた状況にパニック寸前のウサギが、愛する飼主さんの祈りにも似た悲痛な叫び声を聞いたらどうする?
せっかくのスタッフの秀逸な保定も、命懸けで突破しようと暴れだします。
そんなとき、私は思わずドスの効いたトーンで
「黙っていてくださいっ」
と言ってしまいますが、必ず後でフォローしますから、なんなのよっ、怖いジジイなんて思わないでください。
それと常連の飼主さん。
事情をわかっていて、今までずっと黙っていてくれたのに、突然応援しださないでください。
ビックリして私の心臓が止まりそうになります。