命懸けでオヤツあげる気持ちがわからない

ウサギの主食は牧草で、数ある牧草のなかでもチモシーを選択し、あとは良質なペレットを体重の1.5%日量与えることを、普段の診療で説明しています。
極端な話、ウサギはそれだけで健康的に生きていけると思うのですが、他にも何かあげたいという飼主さんの欲求を満たし、且つウサギの消化に負担とならないものとして、葉物野菜はOKとしています。
ウサギが一番消化に手間取るのは炭水化物なのですが、彼らはこれが結構好きで、ニンジンやフルーツ全般、ショップで販売されているウサギ用オヤツ、最近はグラノーラなどを愛兎に与えている飼主さんもいるようです。

私は個々のウサギの消化管の丈夫さを考慮して、それぞれに炭水化物を与えて良いかどうかを指示することはありません。
説明が多様化して飼主さんが混乱しないよう、一律に与えるべきでないと提案しています。

胃袋が丈夫なヒトと同様に暴飲暴食しても乗りきるウサギは存在し、なかにはペレットとオヤツだけで10歳以上生きる強者も診たことがあります。
しかし、殆どのウサギは老化とともに健康な消化を維持するため、オヤツを断つ決断に迫られ、実際止めるときは相当の苦労を伴います。
であれば、最初から与えない方が愛兎に可哀想な仕打ちしなくて済むじゃん、というのが私の考えです。

逆に生まれつき消化管の働きが繊細で、少しでもオヤツを与えると、てきめんに下痢をしてしまう可哀想なウサギも存在します。
そんなウサギの飼主さんに対しては、下痢したとき後追いで治療するよりも、徹底した食餌管理の大切さを力説するのですが、私の説明より飼主さんのオヤツあげたい欲求が強いようで、それらのウサギは度々下痢して来院を繰り返します。

そんなとき、私は自分の説明能力の至らなさに落胆するのですが、同時に殺し文句のひとつでも言いたいと思うのです。

「命懸けでオヤツをあげる気持ちがわからない」

1つ星 (まだ評価がありません)
読み込み中...

コメントは受け付けていません。

このページの先頭へ