ゴッドハンドではない(だったら良いけど)

先日、当院で定期的に臼歯をカットしている患者さんが、地元の他院へ行き同処置を頼んだら「うちでは麻酔無しではとてもやれん、本当にこれを無麻酔でカットする獣医師がいるなら、それは神の手だ」と言われたと教えてくれた。
私としては日常業務の一環としてやっているに過ぎないので、即座に「それ、ある種の誉め殺しです」と返した。

麻酔してやる・やらないは、其々に長所・短所がある。
麻酔してやるなら、患者が無意識のうちに丁寧な処置が可能だが、治療費は高くなる。
麻酔なしでやるなら、麻酔リスクを回避でき治療費が安価な反面、ゆっくり細部に至るまでの処置が難しくなる。

当院はウサギ診療初期、臼歯処置は全て麻酔かけていた。
歯の処置は1回で根治することは珍しく、その殆どが継続的な処置を必要とするから、患者は毎回麻酔をかけられ、そのリスクを負うことになる。
肥満や老齢になれば、そのリスクも高まる。
飼主さんの出費もかさむ。
当院ではそれらを考慮して、次第に無麻酔処置を選択するようになっただけ。

決して苦労して技術習得した訳でも、ましてや神の手が備わった訳でもない。
ウサギを診る獣医師が其々、最善の方法としてどちらかを選択している筈だ。

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