Tさん
数年来の常連であるTさんが来院された。
ハロウィン仕様の、何ともコケティッシュな格好で登場。
彼女は大きな瞳に整った顔立ち、要するに美人だが、話しぶりはサバサバしていて、オッサンでも話しやすい雰囲気を持っている。
しかも頭脳明晰な印象がある。
たまたま他の患者さんがいない状況だったので、ゆっくり話ができたが、もし他の飼主さん、特に男性がいたら、彼女の容姿とハロウィン限定のファッションに目が釘付けになっていただろう。
そんなTさんに、同じ疑問を抱いていたFが「Tさんは何者なんですか?」と、驚くほどストレートに尋ねた。
もちろん、通常なら唐突にそんな質問をするのは失礼だが、長年の付き合いがあるからこその問いだったのだろう。
やはり、彼女はただ者ではなかった。
年齢は私の半分ほどでありながら、しっかりと自立し、むしろ相当なステータスの生活を実現している様子。
先日スイスとドイツを旅行してきたらしく、お土産にチョコレートをいただいた。
「これからこの格好でハロウィン・パーティーに行くんです」と言っていたが、おそらく似た世界観を持つ人たちが集まる場なのだろう。
最近、というかもう何年も景気の良い話なんて聞いていないが、世の中にはいろんな人がいるもんだ。