OSO18を追え 〝怪物ヒグマ〟との闘い560日

少し前の話になるが、北海道東部の標茶町や厚岸町で、2019年から2023年にかけて66頭の牛を襲い、「怪物」として世間の注目を集めたヒグマがいた。
そのヒグマのコードネームは「OSO18」。
本書は、OSO18を捕獲・駆除すべく、560日間にわたって追跡した「南知床・ヒグマ情報センター」理事長・藤本靖氏の手記である。
最も現場に肉薄したハンターたちの記録として、以前から興味を持っていたので、一気に読破した。
サスペンスドラマに例えるなら、謎の連続殺人犯を追いかけ、何度も追い詰めながらも、あと一歩のところで逃げられてしまう――そんな緊迫感がたまらなかった。
また、当初は「現場の混乱を招き、捕獲・駆除の妨げになる」と邪険にされていたマスコミが、最終的に大きな役割を果たす展開も印象的だった。
彼らの職業に対する矜持が感じられ、その執念が報われたことに胸を打たれた。
本書では、OSO18が「なぜ牛を襲い、食べるようになったのか」という謎はもちろん、ハンターしか知り得ない野生のヒグマの驚くべき習性についても詳しく述べられている。
さらに、著者の最後の考察では、今後起こり得る危機についても言及されており、深く考えさせられる一冊だった。
OSO18を生んだのは、紛れもなく人間の仕業だった――。
余談だけど、クマが人を襲うとき、自分は素人考えで「のっしのっし」とゆっくり迫ってくるものだと想像していた。
しかし、9年前に観たレオナルド・ディカプリオ主演の映画『レヴェナント』で、その甘い認識が吹き飛んだ。
あの衝撃的なシーンに、恐怖で震え上がったのを今でも覚えている。
ヒグマハンターたちは、そうした恐怖を理解した上で狩りをしているのだから、本当に凄いと思う。
YouTubeで「レヴェナント・熊」と検索して観てください。
怖いですよ〜。
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