門地による差別

「旧宮家の皇籍復帰は門地による差別に当たる」という意見があります。

この見解は、日本国憲法第14条の「法の下の平等」を根拠とする憲法論です。
問題となるのは、現在は一般国民である人を、家柄や血統のみを理由として皇族という特別な法的身分に就けることが、憲法上許されるのかという点です。

1947年、11宮家は皇籍を離脱し、それ以降、その子孫は一般国民として生活してきました。
したがって、現在の旧宮家の子孫は出生時から皇族ではなく、法的地位は他の国民と変わりません。
生まれてから現在に至るまで、一般人として生活してこられた国民です。
それにもかかわらず、「旧宮家の男系男子」であることだけを理由に皇族となる資格を認めるのであれば、一般国民の中でも特定の家系に属する者だけが皇族という特別な法的身分を得ることになります。
この点は、憲法第14条が禁止する「門地(家柄・血統)」による差別や特権との関係で、慎重な検討を要する問題です。

憲法第14条は、「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により……差別されない」と定めています。
もちろん、皇室制度そのものは憲法が規定する特別な制度であり、皇族が一般国民とは異なる法的地位にあること自体が直ちに違憲となるわけではありません。
しかし、そのことから直ちに、現在は一般国民である者を家系のみを理由として新たに皇族とすることまで憲法が認めているとはいえません。
そこには別個の憲法上の問題があります。

さらに、血統を根拠として特別な法的資格を認める考え方を採る場合、その適用範囲をどこまで認めるのかという理論的な問題も生じます。
例えば、先日読んだ『日本創世史』によれば、平安時代初期に編纂された『新撰姓氏録』では、氏族を「皇別・神別・諸蕃」の三つに分類し、「皇別」には源、橘、阿倍、清原、石川、吉備、間人、紀、吉田、上毛野、下毛野、田中、小野、大野、垂水など、天皇家に由来するとされる氏族が記されています。
もちろん、これらの氏族の子孫であることをもって皇族資格が認められるべきだと主張しているわけではありません。
しかし、血統や家系を理由として特別な法的身分を認めるという考え方を採るのであれば、その線引きをどのような憲法上の根拠で正当化するのかという問題は避けて通れません。
旧宮家には近代まで皇族であったという歴史的経緯があるとしても、それだけで一般国民との法的区別を正当化できるのかについては、十分な説明が求められます。

旧宮家の皇籍復帰を支持する立場は、この歴史的連続性を重視します。
しかし、私は、現在は一般国民である人に対し、「旧宮家の男系男子」という門地を理由として皇族という特別な法的身分を付与することは、憲法第14条の平等原則との関係で重大な疑義があると考えます。

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