私とスパイの物語

元駐イラン大使・元国際情報局局長の孫崎享著作。
元外務省・情報機関のトップが書き残す、世界の諜報活動の実態と自伝的回想録。
日本で最もスパイと接触、交流した人物が描き出す圧倒的迫力で迫るスパイ・ノンフィクション。
・・・と宣伝されて、反射的に購入読破した。
残念ながら内容は興味深くも、八十寿を超える著者の文章は序章からやや読み辛く、それは本書全体に及ぶ。
1965年の英国陸軍学校入学から、退官後の現在に至るまで、自ら間接的に関わったスパイ事件に言及するのだが、やはり肝心の部分は行間から連想させる言い回しが多い。
ネット上の著者の評価は「陰謀論」に傾倒過ぎると批判が多いが、彼の証言を全て事実と鵜呑みにせず、立場によって捉え方の異なる物語だと解釈すれば、十分興奮に値する読み物でした。
著者がモスクワ大学留学中に、KGBの標的になることを避けるために、己に課した4か条。
1、酒を過度に飲まない。
2、女性に過度な関心を持たない。
3、情報に過度な関心を持たない。
4、過度な体勢批判を行わない。
自分には無理! と、まじまじと自覚させる書でした。