天皇の代弁者とも受け取れる、学術的説得力のある見解

元宮内庁書陵部編集課長の鹿内浩胤氏は、次のような趣旨の見解を示しました。

アマテラスの後継となる天忍穂耳命は、弟スサノオとの「誓約(うけい)」によって生まれ、アマテラスの子と定められました。
この継承は、広い意味では「女系」継承と捉えることができる。
さらに、皇室がこの国を治める根拠とされる「天壌無窮の神勅」はアマテラスによる神勅である以上、「男系」のみに固執する考え方は、皇統の出発点やアマテラスの神勅の趣旨と整合しないのではないか。

私なりに鹿内氏の発言を整理・推測した要点は、次のとおりです。
・アマテラスの子と定められた経緯(誓約)
日本神話において、太陽神である天照大御神(アマテラス)と弟の建速須佐之男命(スサノオ)は、互いの持ち物(アマテラスの勾玉、スサノオの剣)を交換して噛み砕き、息を吹き出すことで神々を生み出す「誓約(占い)」を行いました。
このとき、スサノオの剣から生まれた女神はアマテラスの子、アマテラスの勾玉から生まれた男神(天忍穂耳命など)はスサノオの子と定められました。

・「女系」継承という論理
皇室の祖先(初代)とされるアマテラスの次代(2代目)にあたる天忍穂耳命(アメノオシホミミ)は、「アマテラス(女性)の持ち物(勾玉)から生まれた」という理由で次代とされました。
つまり、血筋や男性の遺伝子ではなく、「母親(女性神)の所有物から生まれた」という関係性(女の系譜)によって正統な後継者と定められたことになります。
この構造を捉え、皇統の出発点自体が「女系継承」と言える。

・「男系固執」への批判
現在の「男系男子(父親の家系に天皇を持つ男性)」のみに皇位継承を限定する主張は、明治以降の皇室典範によって法制化された男尊女卑的な風潮(家の原理)に基づいたものに過ぎないと批判されています。
皇室が国を治める根拠である「天壌無窮の神勅(てんじょうむきゅうのしんちょく)」はアマテラスが下したものであるため、男性の血筋のみに固執することは、むしろアマテラスの神勅や皇統の起源の否定につながる。

私が上述の見解に説得力を感じた理由は、鹿内氏が元宮内庁書陵部編集課長という経歴を持つからです。
宮内庁書陵部は、皇室の歴史資料や陵墓の調査・保存・研究を担う専門部署であり、歴史学や文献学に基づく研究を行う機関です。
そのため、鹿内氏の発言は、政治的立場からの主張というよりも、史料や神話の整合性を踏まえた学術的見解として受け止めることができます。
また、宮内庁で長年皇室の歴史研究に携わった人物の発言であることから、私は皇室の歴史や伝統に対する深い理解を踏まえた見解であり、結果として現在の天皇や皇室のお考えとも無関係ではないのではないか、という印象を受けました。

もちろん、それが天皇や皇室の意思を代弁していると断定することはできません。
ただ、敢えて言うなら「そう考えるのが当たり前で素直な思考でしょう」と思いました。

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