夜のジョギング
普段のコースはこうだ。
自宅を出て柳原商店街を抜け、名城公園の外周を回り、外堀沿いを走って金鯱横丁へ。
最後に出来町通を市役所交差点まで一直線ーーここをラストスパートするのが定番コース。
ここ最近は左膝を痛め、サポーターの助けを借りてウォーキングで済ませていた。
だが今夜は、懺悔と後悔を抱えてのジョギング。
気持ちに火がついていた。
最後の直線、前方を走る若者をターゲットに定め、必死で追い抜く。
走り切った瞬間、「今夜の目的、達成」と心でガッツポーズ。
だが歩き出した途端、若者が軽やかに抜き返していき、すれ違いざまに不敵な笑みを浮かべた。
――それでも、悔しくもなんともなかった。
50を過ぎたオッサンが「一瞬でも先を行く」。
それだけでいいのだ。
いずれ彼が私の年齢に達したとき、その一瞬の意味がわかるだろう。
「さあ、クールダウンして帰宅後はリラックスタイムじゃあ〜」と思ったのも束の間、スマホに着信。
「今日はジム行かなかったから、いつもの倍走った報告、楽しみにしてます(笑)」
このタイミングの良さ。
逆らえるわけがない。
結局、必死の思いで再び走り出した。
とほほ。
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