吉田修一・李相日の過去2作
「国宝」の原作者・監督タッグの過去作も気になって鑑賞しました。
「悪人」
「怒り」
両作とも、キャラクターたちは社会的弱者で、暴力・性・貧困・孤独といった人間の“業”が剥き出しに描かれており、「国宝」とは異なる印象を受けます。
苦しくて重たい、感情の整理が追いつかない作風なので、「国宝」のように一般に受け入れられて大ヒット・ロングランになるような映画ではありません。
ただ、よくよく観ると「国宝」もまた、人間の情念を描いた作品です。
吉田修一と李相日のタッグは、3作目の「国宝」で、人間の業をあえて剥き出しにせず、“芸”や“伝統”や“様式美”の中に封じ込めて表現する、「昇華された業」を描いたのだと思います。
どちらにしても、「悪人」「怒り」は、「国宝」のように友人に前向きに勧められる作品ではありません。
しかし、私的には「国宝」に繋がる、原作者と監督の歩みが確認できてよかったです。