インフルエンザ・ハンター

著者はニュージーランド生まれ、現アメリカのインフルエンザ研究の権威で、インフルエンザ界のインディ・ジョーンズと称される人物。

彼の研究は1960年代末(彼が30代のとき)、オーストラリアの海岸に打ち上げられたミズナギドリ数羽の死体を見て閃いたことから始まる。
地球上を飛び回る野生の水鳥が鳥インフルエンザの貯蔵庫であり、そこからヒトのパンデミックウイルスが出現するという彼の説は、現在では世界中に周知されていることだが、彼は長い年月のなかで失敗と発見を繰り返し確立していった。

その研究中リアルタイムで、1997年香港トリインフルエンザ(H5N1亜型)のヒトへの感染、2009年スペインかぜ以来90年ぶりのH1N1型パンデミック、2013年上海2回目のトリインフルエンザ(H7N9亜型)ヒトへの感染に遭遇し、その都度現場に足を運び病原ウイルスを解明していく過程がスリリングに語られている。

更に1918年のスペインかぜインフルエンザウイルスを復元させる研究によって、殺人ウイルスを人為的に作る手段が得られてしまった結果など、今のコロナ下に読めば戦慄が走り、邪な想像をしてしまう。

フィクションのインディ・ジョーンズなら単純明快な冒険劇だが、リアルな対インフルエンザの複雑困難さは、読み進め理解するほど途方もない難題だと思えてしまう。
それでも終盤で彼が提唱する当面の戦略は、インフルエンザという強敵に対抗する知識として知っておくべきこと。

現状は、トリインフルエンザのヒトからヒトの感染が起きるカウントダウン。
正直、コロナより怖いがな。

本書の翻訳には、著者の弟子にあたる日本の研究者11人が其々の章を受け持って、更に一般人にも読み易いように2人の研究者が柔らかく監訳する力の入れよう。
一見敷居の高そうな書ですが、決して読み難くなく、冒険ワクワク感は相当高いです。

コロナによってウイルスに興味持った方は是非!!

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