われら闇より天を見る

イギリスの作家クリス・ウィタカーによるゴールド・ダガー受賞作。
謎解きミステリー、リーガルスリラー、ロードノベル、青春小説、さらには教養小説の要素まで詰まった一冊。
作家業のかたわら図書館でパート勤務もしている著者自身が、「どのジャンルに分類すべきか悩んだ」と語るほど、さまざまな要素が巧みに織り込まれています。
主人公は13歳の少女ですが、邦題はやや堅苦しい印象を受ける。
原題「We Begin at the End(人は終わりから始める)」の方が、本作の核心を的確に表しているように思えた。
「過ちを犯した者はどうすれば赦されるのか」「罪の意識から解放されるにはどうすればよいのか」――
こうした重い問いに、安易な逃げ道を設けず真っ向から取り組んだ傑作。
ミステリーとしての構成も秀逸で、前半に張られた伏線が終盤で見事に回収されていく。
読了後は感慨に浸るよりも、すぐに再読したくなり、伏線を確認しながら何度も唸ってしまいました。
全500ページ。
連休中に少しずつ読もうと思っていたのに、主人公と6歳の弟、そして登場人物すべての結末が気になり、結局徹夜で読み切ってしまいました。
その徹夜明けに、井上選手のあんなドキドキする試合観せられたから、たまらんわ〜。